ダイス



明良は紗江子の質問には直ぐに答えずに、長い指でストローを摘まんだ。


短く切られた爪の間には土か泥が入り込んでいて、それで彼が肉体労働の仕事をしていることが分かる。


長く伸びた腕にも細いながら筋肉がついていて、その仕事を長くしていることも窺える。


「あたしに近付いた目的は?」


紗江子はもう一度質問を繰り返した。


「見付ける為」


明良は短く答えた後、もう一度口を開いた。


「俺の真似をしている奴を見付ける為だよ」


明良はそう言った後、笑顔を作った。








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