ダイス



「神沢……」


そこにはトレーを手にした紘奈がいた。


「何かありました?」


紘奈はそう言った後、いいですか、と紗江子の目の前を指差した。


紗江子はええ、と頷き、明良の飲んだ後のグラスを自分の方に移動させた。


「デートでしたか?」


紘奈は冗談ぽく笑いながら、椅子に腰を下ろした。


「ううん、違うわ」


軽く笑いながら返すと、紘奈はそうですか、と言った。


「何か、調べてたの?」


本庁を出たのは二時間も前。


普通ならとっくに自宅に着いている時間だ。



.
< 163 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop