ダイス
自分はこの娘を新井に取り戻されたくないのだ。
確かに、殺人犯係にいたときは仕事に遣り甲斐を感じていた。
しかし、心が荒むのも確かだった。
毎日人を疑って、殺人犯を探し続ける。
誰かを信じるなんて、有り得なかった。
エリートであるが故に、周りを出し抜くことにも余念がなかった。
気付いていなかっただけで、そんな日々に嫌気がさしていたのだ。
そして、その生活を変えたのが雪音の存在だった。
経緯はどうあれ、結果として彼女がそんな日々を変えるきっかけとなった。
自分はそんな彼女を大切に想っているのだろう。
.