ダイス



深水に告げるかどうかはまだ答えが出ず、抱えたままだ。


本来やるべきことは、目の前の男を逮捕することなのだろう。


それなのに、それをしないのは何故か。


この男がいれば、新たな《ダイス殺人事件》の犯人に近付けるからか。


それとも、まだこの男の言葉を疑っているからか。


「それを聞いてどうするの?」


明良は顔を近付けたまま言った。


住宅街に差し掛かった夜道は人通りが少ない。


それを分かっていて、ここまでつけてきてから声を掛けたのだろう。




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