ダイス



「あたしは、それを知りたい」


胸の奥から本心が形を作って出てきた。


明良が何故、何人も殺したのか。


殺さなくてはならなかったのか。


疑っているのではなく、そうだと思いたくないのだ。


目の前に立つ男は誰もころしてなんかいない。


そう思いたくて仕方無いのだ。


「……知る必要はないよ」


明良は眉を少しばかりしかめて言った。


踏み込ませないのではなくて、踏み込むことを許さない。


何重にも掛けた鍵は簡単に開けることは出来ない。


理由なんてないから言えないのか、言いたくないほどの理由があるのか。




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