ダイス



真横で眠る明良の顔を愛しく思う。


これが危険な感情であることは重々承知だ。


ばれなきゃいいだとか子供じみた考えはない。


刑事が殺人犯と恋仲になるなんて、許されることではない。


辞職も辞さない想い、なんて格好のいいことは言えない。


後悔ばかりが胸に押し寄せ、それでも冷たい手をずっと握っていたいとも思ってしまう。


先程まで抱かれていた肩が途端に熱くなる。


普通は反対だ。


触れられている時は熱く感じ、離れたら冷たく感じるものだろう。


物理的にも。


それなのに逆に感じるのは後ろめたさからか。
< 189 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop