ダイス
男とこういう関係になって嬉しいだとか幸せだとかいう気持ちが少しもないなんて。
まだ明良は規則正しい寝息を立てている。
彼も自分を利用している。
なら、自分だって利用してもいいのではないか。
恋愛感情とは違う想いばかりが湧いてくる。
本当に好きなのかな。
紗江子は明良の寝顔を見ながらそんなことを思った。
そんなことを思ったりしたら元も子もないのに。
引き返せない現実を、身体に残った僅かな冷たさが思い知らせた。
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