ダイス
「お話があります」
目の前に立つ紗江子に深水は不思議そうな顔をしている。
その机には沢山の捜査資料が並べられていて、この人が自分以上に真剣に事件に向き合っているのだと知らされた。
そこに裏切ったような気持ちを感じる。
本来なら真っ先に伝えるべきだった。
過去の《ダイス殺人事件》の被疑者である可能性の高い男が自分に接触してきた。
その男は新たな《ダイス殺人事件》は模倣だと言っている。
しかも、その模倣の理由すら知っている。
何度考えても直ぐに伝えるべきことだった。
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