ダイス



「捜査に空想と思い込みは禁物。だが、俺の意見を言わせて欲しい」


各々にやるべきことを考えていた面子は一斉に深水の顔を見た。


深水は眉間に僅かに皺を寄せさせ、奥二重の瞳に光を宿している。


「過去の《ダイス殺人事件》の犯人は浅川に接触してきた北見で間違いないだろう。そして、新たな《ダイス殺人事件》の犯人は新井太一だと考えている。偶然などというものはこの世に存在しないからな。そして、北見は新井の存在を知っている。彼らには何かしらの共通点があるだろう。
そこに、犯行に及んだヒントがあるとも思える。
だが北見は新井の居所を知らない。だが、探している。
探している理由は、もしかしたら消すことかもしれない。
俺達に出来るのは、北見よりも早く新井を見付け出すことだ」


流石は元エリート、と紗江子は深水の推論に舌を巻いた。


状況だけでここまで辿り着いたのだ。


それが正しいかどうかは分からない。


だが外れてはいないだろうと、確信を抱いた。




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