ダイス



「今から、新井が電話を掛けた場所を特定してくる。それまで、各自出来ることをするように」


深水は確りとした声で言い、部屋を出ていった。


紗江子はその後ろ姿を見送った後、明良との接触の仕方を考え始めた。


携帯電話も持たず、職場も住んでいる場所も分からない。


明良に会うには、向こうから訪れることを願うしかないのだが、そんなわけにもいかない。


「あの、大丈夫ですか?」


頭を抱えそうになったところで紘奈に声を掛けられた。


「え?」


紗江子は紘奈の大きな瞳に視線を向けた。


今日はいつもより化粧が薄いのか、少し眠そうな目に見える。



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