ダイス



新井が電話をした公衆電話の地域は直ぐに判明した。


それでも彼の足取りを掴むことは出来ずにいる。


やはり、存在しない人物を探すなんて、有りもしない落とし物を探すようなものだ。


紗江子は溜め息をつきながら、草臥れた足を擦った。


ずっとヒールで歩き回っているせいか、脹ら脛が痺れるように痛い。


そしてこれは捜査本部には伝えていないことなので、出来るだけ地味に動かなくてはならない。


「そっちでは何か成果あった?」


紗江子が訊くと、長谷部は渋い表情で首を横に振った。


長谷部にだけは今回のことを伝え、捜査本部で上がった情報を流してもらっている。


「何の進展もありませんし、北見明良という名前も、新井太一という名前も挙がってません」


この二人の関係性と共通点は何か。



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