ダイス



「お礼言われるようなこと、言ってないですよ」


長谷部は照れを隠すように笑った。


あたしがたちどまってちゃ駄目だ。


そんな長谷部を見ながらそう思った。


犯人を、新井を逮捕したい。


そう強く思ったのは確かだが、明良を逮捕したいと思わなかったのも事実だ。


こんなふうに見てくれてる人がいるというのに。


「じゃ、独自捜査、頑張って下さい。新しい情報が入り次第、連絡しますので」


長谷部はそう言うと、紗江子の前から去っていった。







.
< 209 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop