ダイス



「何処に住んでるの?」


紗江子がそう訊くと同時に、電子レンジが終わりの音を告げた。


「職場の寮にいたんだけど、結構前に契約切れちゃって」


明良は言いながら光を失った電子レンジから皿を取り出した。


そしてそれをテーブルの上に置く。


「炒飯。夕飯まだだったらどうぞ」


明良に言われ、紗江子は取り敢えず椅子に腰を下ろした。


事件と真剣に向き合う。


そう考えた途端、彼とどう向き合っていいのか分からなくなってしまった。


何を話しても、事件のことを訊いてしまいそうになる。


そして、彼がそれにきちんと答えるかは分からない。



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