ダイス



「知ってる情報なんてないよ。何も知らない」


明良はまた視線を落として言った。


「……あたし達は、新井太一という青年が犯人だと睨んでる」


紗江子は言ってから、小さく息を吐いた。


本来、一般人に漏らしていい情報ではない。


しかし彼がただの一般人ではないことは明白だ。


紗江子の話に明良は細い指を微かに動かした。


どんな仕草も表情も見逃さない。


紗江子はそう思いながら明良を観察した。



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