ダイス

「新井太一という人物に心当たりは？」


目の前に置かれたオムライスはすっかり冷めているだろうが、いつの間にか空腹は薄れていた。


明良は俯いている為、どんな表情をしているのかは定かではない。


「新井太一を、貴方は知っているわね？ 彼は《ダイス殺人事件》の犯人を知っていると言っていたらしいの。それは、貴方のことよね？」


深水の妻の元に掛かってきた電話で新井は確かにそう言っていたらしい。


これは、双方、互いの存在を知っているということだ。




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