ダイス
「え……ああ、はい。それは……」
「全て事細かに発表してる」
何処かに意識を飛ばしていた絋奈の代わりに答えたのは深水だった。
何であたしの担当はこんなことなのよ。
紗江子はそうですか、と返しながら腹の中で思った。
紗江子と蓮の担当は、過去の《ダイス殺人事件》との類似点を洗い出す、というものだった。
本来なら外を歩き回って情報を得たかった。
こんなふうに過去と今の資料を見比べているだけで犯人が見えるなら苦労はない。
これじゃあ、オイシイところは他の班に取られる、てことね。
紗江子は小さく息を吐いて、ストレートの髪を弄った。
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