ダイス




「新井とは何処で知り合ったの?」


「前の職場。日雇いで来てて、寮には入ってなかった」


保険証も何も必要のない職場。


やはり考えは当たっていた。


当たっていたというよりは、それしかないといったほうが正しいのだが。


「知り合ったのはいつ?」


こんなふうに質問をしていると、自分が刑事であると自覚出来るし、何よりそういった気持ちで明良と接することが出来る。


紗江子は鞄からメモを取り出し、明良から聞いた事柄を書き留めていった。


「半年くらい前だよ」


明良は意外にも素直に答えていく。


それは自分のことを訊かれているわけではないからだろうか。




.
< 220 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop