ダイス
「共通点、というのは何ですか?」
紘奈が口を開くと、明良は眉をぴくりと動かした。
本当に今、どう感じているのかも何を考えているのかも分からない。
こんな人は初めてだ。
「それ、言わなきゃ駄目?」
そしておかしな返しをする。
「私がした質問には全て答えて下さい、と言ったはずです」
「でも、それに頷いた覚えはない」
紘奈はぐ、と握った拳に力を入れた。
明良が話術に長けているのか、それとも自分が愚鈍なのか。
会話の主導権はすっかり明良が握っている。
自分には荷が重いというより、端から無理なことなのかもしれない。
「……君は、何をもってして存在していることを証明する?」
明良はコーヒーカップを静かに置いて訊いてきた。
会話の脈絡がない。
これが彼の手なのか、それとも単に癖なのか。
.