ダイス
「……戸籍謄本」
紘奈の答えに、明良は正解、と言った。
「貴方には、それがない。そして、新井にもない。それが、貴方達二人の共通点」
紘奈が言うと、明良はにこりと笑った。
「そこからどうして、貴方がしたことを新井が知ることになったんですか?」
明良は笑みを消し、視線を自身の手元に落とした。
薄い瞼には、くっきりと二重の線が刻まれている。
「君には話したくない」
明良は突如視線を上げてから言った。
交渉術でもまなんでおくべきだったか。
紘奈は闇の広がったような明良の瞳を見ながらそう思った。
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