ダイス
「真似されたって、気付いたのはいつ?」
いつの間にか店内には人が増えている。
少し声を潜める必要がありそうだと、紗江子は声のトーンを落とした。
「テレビでニュースを見た。その何日か前、新井は仕事に来なくなっていた。まあ、そういうことはよくある職場だから、誰も気にしてなかった。でも、俺は気になってた。そうそう行く場所なんてないのに、て」
新井は事件を起こす為に、明良の前から姿を消した。
いつから計画していたのか。
話を聞いて直ぐにか、それとも突発的なものなのか。
いや、突発的なわけはない。
あの殺し方、そしてターゲットを見付けるのは突発的では出来ない。
「ニュースを見て、直ぐに新井の仕業だと気付いた」
「そして、二番煎じのほうが騒がれてることが許せなかった?」
これは以前感じ取ったものだ。
自分も同じように思ったから。
.