ダイス



「アキレス腱を切ったのは、動き回られたら勝てないから。身体を切り離したのは、二度と立てないように。上半身を焼いたのは、そいつの顔が嫌いだったから。賽子を置いたのは、自分だという証拠」


自分達が分かっていたのは、アキレス腱を切った理由の憶測だけだ。


あとは全く行き着かなかった。


行き着くわけがないのだ。


そんなのは本人しか分からないのだから。


その殺し方には明良の、生い立ちに対する不満の全てが現れているようだった。



「十人も殺したのは何故?」



そいつに腹が立ったなら、一人で十分ではないか。


それだけ許されることではないが、目的は果たされているようにも思える。


「一人殺したら、すっきりした。此処に確かにいるんだって、強く思えた。ニュースを観れば観るほどに」


だから、次々と殺した。


そしてターゲットを絞る為に、数人の尾行をしたのだろう。




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