ダイス



「だから、近付いた。本当は自分のこと話すつもりなんてなかったけどね」


明良は言ってから笑った。


全て、賽子通りにいくわけなんてない。


自分で決めなければ、道は逸れていくものなのだ。


「それで、新井が何処にいそうかは分かるの?」


「分かったら警察になんか接触しない」


となると、捜査は何も進んでいないことになる。


事件を起こした理由を知っただけ。


新井は同じ境遇の明良に憧れて、真似をしただけ。


そして姿を消している。


なら、何処にいるのだ。


紗江子は長い前髪を掻き上げた。






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