ダイス



新井から連絡があったのは午前十時。


いつも通り、公衆電話から雪音の携帯電話に掛かってきた。


盗聴を試みていた為、場所は直ぐ特定出来たが、そこに押し掛けることはせずに、雪音に約束を取り次がせた。


近くの公園で、午後二時に。


短い会話を交わし、雪音は新井とそう約束をした。


深水の妻として初めて見る彼女は美しかった。


そして、深水を愛しているように見えた。


元恋人より、今の結婚相手を取った。


彼女の行動からもそれは明白だ。


深水がよくやった、と雪音の頭を軽く撫でると、彼女は小さく笑った。


その顔はあまりに可愛くて、同性の紗江子さえも思わず見とれるものだった。




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