ダイス



遠目から見る雪音は不安に駆られているようだ。


それもそうだろう。


自分が囮になり、元恋人を捕獲する。


「大丈夫よ、落ち着いて」


紗江子はマイクに向かって囁いた。


それは雪音の耳に嵌めた小型イヤホンに伝わったはずだ。


雪音は紗江子の言葉に、小さく頷いた。


そして、すっと姿勢を正した。


もうすぐ約束した時間だ。


紗江子は腕時計を確認してから、雪音の姿を眺めた。







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