ダイス




約束の時間を三分過ぎてから、新井は姿を現した。


遠くからでも、直ぐに新井だと分かったのは何処と無く明良と似ていたから。


見た目ではなく、雰囲気だ。


新井は雪音に走り寄り、彼女の手を取った。


それに対して雪音は狼狽しているようにしか見えない。


嘘を吐けないタイプなのか。


それに新井が不審そうな表情を見せたところで、近くにいた捜査員の一人が新井に声を掛けた。


捜査令状を取ったわけではない。


逃げられるのを無理矢理押さえ付けることは憚られる。


新井が大人しく従ってくれることをその場にいた全員が願っただろう。


だが警察だと分かり、新井が暴れない保証はない。


紗江子は固唾を飲んで、その場を見守った。




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