ダイス



何がこんなことを生み出したのか。


何故、こんなことになったのか。


結局、そんなことは分からないのだ。


そう、誰にも。


紗江子は報告を聞きながら、溜め息を吐いた。


次に捜査本部は明良の逮捕を狙うだろう。


そう思った矢先、紘奈が飛び込んできた。


静まり返ったこの部屋では、何度も論議を交わした。


それでも自分達だけで犯人に辿り着くことは出来なかった。


「どうしました?」


捜査本部からの報告をしていた長谷部が驚いた顔で紘奈を見ている。


「あの……っ」


紘奈は息を切らしながら紗江子を見てきた。


「何?」


紗江子が訊くと、紘奈は呼吸を整えながら真っ直ぐ立った。




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