ダイス




「これで全部終わった、と」


紘奈は紗江子から少しも視線を逸らさずに告げた。


「終わった?」


「はい」


紘奈はこくんと頷いてから、再び口を開いた。


「これで、本当に自分がいるという証明が出来る、と」


端からここまで計算済みということだったのだろうか。


自分が逮捕される、自首する、というシナリオで完結する話。


だとしたら、本当に自分は利用されただけなのだ。


馬鹿みたい。


ふと浮かんだ言葉はそれだけだった。


もしかしたら本当に心を通わせたかもしれない。


そんなふうに思ったりした自分が馬鹿みたいだ。



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