ダイス
振られた賽子は必ず止まる、そう必ず。




「遺体の側に賽子を転がす意味って、何ですかね?」


絋奈が資料に視線を落としながら首を傾げた。


とてもではないが意味があるとは思えない。


あるとしたら、自分がやったのだという証。


それ以外は何も思い付かない。


紗江子は首を捻りながら、現場写真に目を向けた。


過去のものと、現在のもの。


賽子は小さなものだが、こんなものが今の時代何処に売っているのだろう。


「賽子の入手経路は特定出来てるんですか?」


紗江子が訊くと、深水は首を横に振った。


絋奈に喫煙を注意され手持ち無沙汰なのかボールペンを弄っている。


「木製で、手作りというのが当時の見方だ。それと、今回も同様らしい」


写真だけではそれが木製だというのは分かりづらい。


紗江子は資料の賽子のみが写る頁を捲った。



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