ダイス



かつ、かつ、とヒールの音を鳴らして歩く。


先週から起きている連続女子大生殺害事件。


数人の犯人候補は挙がっているものの、どれも確証がない。


紗江子は夕べの捜査会議での内容を必死に脳内に巡らせた。


「目、瞑って歩いてると転ぶぞ」


その声にぱち、と目を開ける。


「深水さん」


深水は今朝は冷え込むな、と言いながら紗江子の隣に並んだ。


深水は《ダイス殺人事件》での働きを評価され、殺人犯係へと三年振りに戻ってきた。


「奥様は、お元気ですか?」


紗江子が訊くと、深水は頬を緩ませてああ、と頷いた。




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