ダイス




「そんなことしても何も出ないと思うんですけどね」


絋奈が眉をひそめて言った言葉に紗江子は我に返った。


「確かに。他の痕跡はないのに、それにだけ残ってる、てことはないと思いますね」


それに蓮が同意する。


過去のものと今回の事件を幾ら比べてみたところで、結局は手口が酷似している、ということしか述べられない。


酷似はしているが、同一犯だという確証もないのだ。


「殺し方の意味でも考えてみます?」


紗江子は賽子の写真に視線を落としたまま呟くように言った。


残忍かつ、凶悪な犯行。


そこに何か意味があるのか。


「それはプロファイリングチームが行ってるけど、まあ、悪くない見方か」


深水は喋る時はわりと大きく口を開く。


それでも声が大きい方ではない。


「プロファイリングチームまで出てるんですね」


蓮はそれで漸く今回の事件の大きさを思い知ったようだ。


「素人考えでは、何とも言えませんけど」


絋奈は言いながら遺体の写真を机に並べた。




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