ダイス
「犯人は一気に絞殺せずに、一度両足のアキレス腱を切ってから、被害者の身体の自由を奪ってます。これから察するに、犯人は非力な人物、若しくは被害者の恐怖を楽しむ、という見方が出来ると思います」
以前一緒に捜査した時は刑事にしては洞察力や行動力に欠ける子だと思っていた。
なのに今目の前に座る絋奈は何処か凛としていて、そんなものは微塵も感じさせなかった。
これがキャリアというものか。
紗江子は感心しながら絋奈の長い睫毛を見た。
「ま、言い切ることは出来ないけどな。単に、暴れられたら面倒って思う人種かもしれない」
絋奈の発言に水を差したのは深水だ。
「もう。これあげるんで、黙ってて下さい」
絋奈は嫌そうに表情を歪めて深水にロリポップを渡した。
子供騙しのようなやり方だが、深水はロリポップの包みを剥がし、口に放り込んだ。
「上半身と下半身を切り離す意味は?」
やけに大人しい深水が気にはなったが、敢えてそれは気にせずに絋奈に話し掛けた。
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