ダイス
「うーん、それは犯人なりに何かの意味、若しくは儀式のようなものだとも思われます。上半身を焼くのも。被害者の身元がばれたくないのなら、まず所持品を奪うはずですから。でも被害者の所持品からなくなっていたものはありません」
「儀式……」
紗江子はその言葉を口の中で小さく反芻した。
上半身と下半身を切り離し、上半身だけ焼くという儀式。
儀式という言葉は古代ヨーロッパの黒魔術のようなものを連想させる。
絋奈がそういった意味合いで言っているのかは分からない。
「年齢も十九歳、と一致しています。十九歳、というのに意味があるのか、それとも十九、という数字に意味があるのか」
絋奈はぺらぺらと推論を立てていく。
その隣では深水がからからと歯に飴を当てて音を出している。
絋奈の口から出た話は全て深水も思い付いているだろう。
それほどの男が未解決捜査班にいる理由。
紗江子は三年前の出来事を不意に思い浮かべた。
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