ダイス



「浅川さん」


朝の捜査会議が終わり、未解決捜査班の部屋へ向かおうとした時、長谷部に呼び止められた。


長谷部の担当は過去の被害者周辺を洗うこと。


どのみち、今回の事件の解決の糸口からは遠いところだ。


「どうかした?」


紗江子は足を止め、少しだけ首を傾げた。


「ちょっと見て欲しいものがあるんです」


長谷部は眉間に皺を寄せて言った。


表情から察するに、それなりの情報だと見てとれる。


だが先程の捜査会議で長谷部は何の発言もしていない。


収穫なし。


それが長谷部の報告だった。


「ちょっと来て下さい」


長谷部は真剣な表情で軽く手招きをした。



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