ダイス



紗江子はうん、と答えながら長谷部の後ろをついていった。


周りには捜査へと外へ繰り出す人間が蠢いている。


長谷部は彼らの様子を気にしながら、空き部屋へと紗江子を案内した。


「これ、見て下さい」


長谷部が見せてきたものは何かが印刷されたコピー用紙だ。


それは全面真っ黒に見えるがよく見ると白い文字が浮いている。


《ダイス復活祭》


白い文字で書かれている言葉はそれだった。


「これ、何?」


部屋の外からはがやがやと声が聞こえる。


これだけの捜査人を費やしても事件の全貌どころか、鱗片すら見えていない。


だから日本の警察は無能だとか言われるのだ。


紗江子は捜査報告を耳にしながらそう思っていた。



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