ダイス
「過去のダイス殺人事件には熱狂的な信者が多いんです。まあ、猟奇殺人のケースはそういう輩が湧いて出るものなんですが……」
とはいえ、殺人を喜んだり、況してや殺して欲しいなどと思うなんて。
常軌を逸した人間にしか思えない。
紗江子はプリントアウトされた内容を見ながら眉をしかめた。
「これって、模倣犯の可能性も示してしませんか?」
長谷部は真剣な顔付きでそう告げた。
確かに。
「ねえ、何でさっきの捜査会議で言わなかったの?」
紗江子は紙を置きながら長谷部に尋ねた。
少しでも可能性があるならそれを告げるべきだ。
「これだけの情報じゃ、相手にされませんよ」
紗江子の問いに長谷部は苦笑いをしながら言った。
それも確かに。
確実な話ではない。
そういう可能性も見えてきたというだけの話。
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