ダイス
「……賽子って、何ですかね?」
紘奈は二つの賽子を見詰めながら疑問を口にした。
「何だ、その質問」
笹木は片方の眉をぴくりと上げた。
どうせ、アホらしい質問だとでも思っているのだろう。
「いや、何なのかなって。双六にしても、これで進む数を決めるって……」
まるで、人生は進む数が決まっているみたいだと思えてならない。
自分で決めるのではなく、他のものが決める。
そして、正四角形の賽子は振られたら必ず止まるのだ。
振られたら賽子は必ず止まる、そう必ず。
「その意見、今回の事件とは全く関係ないな」
笹木は滑舌の悪い口調でそれだけ言うと、自分の持ち場へと戻っていった。
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