ダイス
やはり何も出なかった。
紗江子は目の前に並ぶ賽子を見ながら溜め息を吐いた。
「ま、確かにこれを見る限り、模倣犯の可能性はあるな」
長谷部が持ってきた情報を見ながら深水が言った。
寝不足なのか、何度も欠伸をしているし、眠そうに目を擦ってもいる。
「ですよね」
紗江子はそれに小さく返した。
目の前に並ぶ賽子に相違点は見られない。
布手袋を嵌めて手に取って見ても、これといったチガイハ見付けられない。
微妙な形の違いは手作りによるものだろう。
それを違いと呼べるのかどうか。
いや、はっきりと呼べはしないだろう。
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