ダイス
「俺は何時だって真面目だよ」
深水が悪びれもせずに返してくるので、紗江子はもう一度溜め息を吐いた。
「長谷部が持ってきてくれた話は、模倣の可能性を示すもの。でも、今の芦原の発言は、模倣の可能性を打ち消すもの」
深水の考えは正しい。
でも、そのどちらかを決めてしまうのは危険だ。
「だから、言ったんだよ。可能性を打ち消すのはまだ早い。なら、別の方向から賽子について考えるべきだ」
深水が言い放つ言葉に、蓮はその通りです、と小さな声を出した。
取り敢えず場は収まったのか。
紗江子は二人の顔を交互に見てそう思った。
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