ダイス
部屋に帰ってからも、頭を離れないのは明良の笑顔だった。
特別タイプというわけではない。
むしろ、ああいったはっきりとした顔はタイプではない方だ。
あの、明るい、何処と無く無邪気な感じも。
でも何かが惹き付けられる。
そう考えると同時に深水の顔が浮かんできた。
年甲斐もなくずっと片想いをしていた相手。
少なからず向こうも好意を抱いてくれていると思っていたのはただの勘違いだったのか。
勘違いだったから、彼は自分の知らない女と結婚したのだ。
紗江子は色々と考えてから頭を振った。
今はそんなことを考えている場合ではない。
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