ダイス




「あの、深水さん、殺人事件追ってるって、言ってたから」


雪音はまだ視線を落としている。


その足元の靴は薄汚れたスニーカーだ。


そう、汚れた色だけは分かる。


「追ってるのとは違うけどな」


深水が答えると、雪音はうん、と小さく声を出した。


「それと、新井君が何か関係あるのかなって」


雪音なりに心配をしているのか。


それとも、とうにそんな感情はないのか。


「今、日本では数え切れない程、殺人事件が起きてる。だから、一致するとは限らない」


深水の言葉に雪音は静かに顔を上げた。


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