ダイス
「本当に?」
紗江子の答えに明良は嬉しそうな表情を見せた。
笑う度に覗く前歯は、白いだけでなく形も並びも綺麗だ。
「じゃ、何処にしようか」
明良微笑みながら言うので、紗江子もつられて微笑んだ。
柔らかい空気というのとは違うが、彼は相手を自分のペースに引き込むところがある。
だから、誘いにも乗ってしまうし、つられて微笑んでもしまう。
「何処でもいいけど」
紗江子が言うと、明良は考え込む仕草を見せた。
手の中のプラスチックカップの飲み物は気付けば半分程になっている。
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