ダイス




「まず、全員の意見を聞きたい」


深水は姿勢よく椅子に腰掛け、机の上で手を組んでいる。


いつもは第二ボタンまで外しているシャツも、今はきちんと閉められている。


勿論、煙草を欲する様子も見せない。


決意の現れということだろうか。


「同一犯か模倣犯か、今思うことだけでいい」


深水の言葉に蓮が挙手をした。


「何でも言え」


深水に言われ、蓮ははいと答えた。


「どちらも、はっきりとは言えません。ただ、直感では同一、です。理由は手口が酷似し過ぎているから、です」


蓮の推察に深水は頷いた。


「あたしは、模倣だと思います」


紘奈は挙手せずに口を開いた。


「浅川さんが持ってきた、ホームページもありますし、後は同一だとしたらブランクの理由が必要になります」


紘奈の意見も尤もだ。


「浅川は?」


深水はちらりと紗江子に視線を向けた。


自分は……。


「分かりません。どちらと思うにしても情報が無さすぎます」


紗江子は素直な意見を口にした。


それが今の自分の考えだ。




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