ダイス
「ええと、何処まで話したっけ?」
紗江子は長い前髪を掻き分けながら紘奈に聞いた。
「被害者の数人が生前、誰かにつけられている、という話の途中です」
紘奈は紗江子の異変を嗅ぎ取ったのか、心配そうに眉を下げた。
ぱっちりとした瞳は黒目がちで可愛い。
長過ぎる程の睫毛は綺麗に上を向いている。
自分の可愛さを自覚していないから、簡単に表情を崩すがそれがまた彼女の魅力を生むのだろう。
「ああ、そうだったわね」
この情報は長谷部に回してもらったものだ。
前回からこのチームは何かしらの進展がない限り捜査会議に出席しなくていいと言われたのだ。
本当に必要とされていないようだ。
ひたすら過去と今の違い、若しくは同じであるという決定打を見付けていろ。
こんなのは答えのないクイズのようなものだ。
同じかそうでないか。
ここまで酷似していたらそれは犯人にしか分からないもののように思えてならない。
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