冷たいアナタの愛し方
奴隷の部屋が並んでいる廊下を歩いていたルーサーは、オリビアの部屋の前で立ちどまると、目線よりも少し下にある鉄格子の隙間から中を覗き込んだ。
「あれ…寝てるのかな」
ベッドに横たわった薄い毛布に包まってまん丸になって眠っているオリビア。
お姫様で王女様でお嬢様な育ちなのに早朝から慣れない仕事をして疲れているのか、ドアをノックしても起きない。
試しにドアノブを回してみると――開いてしまった。
「鍵もかけずに…不用心だな」
このまま寝かせておいてもいいかと思ったが、こんな寒くて陽の当たらない部屋に居ると病気になってしまいそうな気がして、ゆっくりベッドに腰掛けると、マットレスは驚くほど硬かった。
本来はハーマンの言うように贔屓をしてはいけないのだが、無視はできない。
やわらかいマットレスとあたたかい毛布、そして湯たんぽを届けてやろうと決めたルーサーは、オリビアの顔を覗き込んで金茶のばさばさな睫毛に見入った。
「オリビア……起きないと狼に襲われるよ」
呼びかけたがむにゃむにゃ口を動かして起きる気配がない。
無性に意地悪をしてみたい気分になったルーサーは、オリビアの頬にそっとキスをしてみると、細い身体がびくっと引き攣った。
「あ……えっと…私…寝ちゃってたの?…え?ルーサー…?今私に何かした?」
「何かしたって何を?ぐっすり眠ってたけど起こさない方が良かったかな」
唇の感触が残っているのか、しきりに左頬に触れているオリビアが面白くて腰を上げたルーサーは、一緒に部屋を出て離宮へと向かう。
「べ、別に…。寝てたなんて知られたらレティたちに怒られちゃう。秘密にしておいてね」
「うん、いいよ。で、ウェルシュの印象はどうだった?」
高官たちに顔を見られないようにフードを深く被って俯きながら歩いていたオリビアは、小さな声でぼそりと呟く。
「酒樽だったわ」
「でしょ?僕も油断するとああなるのかなあ。気をつけなきゃね」
細くて無駄な贅肉など全くついていないルーサーの後ろを歩いていたオリビアは、それを想像して可愛い、と呟いて離宮に続く扉を潜った。
「あれ…寝てるのかな」
ベッドに横たわった薄い毛布に包まってまん丸になって眠っているオリビア。
お姫様で王女様でお嬢様な育ちなのに早朝から慣れない仕事をして疲れているのか、ドアをノックしても起きない。
試しにドアノブを回してみると――開いてしまった。
「鍵もかけずに…不用心だな」
このまま寝かせておいてもいいかと思ったが、こんな寒くて陽の当たらない部屋に居ると病気になってしまいそうな気がして、ゆっくりベッドに腰掛けると、マットレスは驚くほど硬かった。
本来はハーマンの言うように贔屓をしてはいけないのだが、無視はできない。
やわらかいマットレスとあたたかい毛布、そして湯たんぽを届けてやろうと決めたルーサーは、オリビアの顔を覗き込んで金茶のばさばさな睫毛に見入った。
「オリビア……起きないと狼に襲われるよ」
呼びかけたがむにゃむにゃ口を動かして起きる気配がない。
無性に意地悪をしてみたい気分になったルーサーは、オリビアの頬にそっとキスをしてみると、細い身体がびくっと引き攣った。
「あ……えっと…私…寝ちゃってたの?…え?ルーサー…?今私に何かした?」
「何かしたって何を?ぐっすり眠ってたけど起こさない方が良かったかな」
唇の感触が残っているのか、しきりに左頬に触れているオリビアが面白くて腰を上げたルーサーは、一緒に部屋を出て離宮へと向かう。
「べ、別に…。寝てたなんて知られたらレティたちに怒られちゃう。秘密にしておいてね」
「うん、いいよ。で、ウェルシュの印象はどうだった?」
高官たちに顔を見られないようにフードを深く被って俯きながら歩いていたオリビアは、小さな声でぼそりと呟く。
「酒樽だったわ」
「でしょ?僕も油断するとああなるのかなあ。気をつけなきゃね」
細くて無駄な贅肉など全くついていないルーサーの後ろを歩いていたオリビアは、それを想像して可愛い、と呟いて離宮に続く扉を潜った。