「同じ空の下で…」

外はさっきから降り続く細やかな雪が、花を咲かせるように町の彩りに華やかさを加えていた。

無数の雪が地中に向かって、妖精のようにふわふわと舞い降りていた。

事務所を出て、駅までの距離───。

少し間を開けて、瞬と2人で歩く。


「…瞬、変なトコに変なコト…しないでよ…」

「何がだよ。何でさっきからご機嫌ななめなの?」

「・・・・由美が、ここ、隠してくれたんだよ…。」


ストールをずらし、後ろ髪をすくい上げ、瞬にマーキングされたうなじを見せる。


「あ…見つかったか♪」

子供のような笑顔で、悪戯な目で笑う…瞬。



「バカ…」


「・・・・絶対、誰にもバレない自信あったけどなぁ♪」

瞬のお尻あたりをバッグで軽く叩こうとすると、ひょいっと身軽にそれを交わされた。



「…次、…いつ会う?」


「えっ?!」


私の頭の中は、マーキングされたうなじへ全神経が集中していて、更にはその時の瞬との甘いひと時で一杯になって居た為、そんな瞬の問いかけに思わず顔を赤らめてしまった。

そして、あっさり瞬にそれを見透かされてしまっていた。


「…違う、スポンサーの方…。」


「あ、…ああ、そうだね。」
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