「同じ空の下で…」
午後一の私の仕事は、常務から渡された【企画書】と書かれたその封筒を先方の専務取締役に届ける事から始まる。
1階フロアに降り、同行する営業部の本田部長代理を待っていた。
本田部長代理が持っていってくれたらいいのに…とも思ったけどこれから会う相手が
本田部長代理→営業本部長
私→専務取締役
…と、同じ会社にしても全くの格差がある為、
ここはやはり、常務の秘書である私が敢えて行かなければならないらしい。
社用車は、既に入り口に待機していた。
本田部長代理を待ちながら、窓から見える景色に目を移した時だった。
「え~、そうなんですか~?キャハハ・・・」
聞き覚えのあるような笑い声が私の耳を刺激する。
その声は受付カウンターの辺りから聞こえた。
声の主を静かに目で追ってみる。
そこには、クルリと巻いた肩までのハニーブラウンの髪の毛。
大きな目を更に大きくみせているのか、綺麗にカールされた長いまつ毛。
グロスをたっぷりとワザとらしく塗った無駄に艶やかさに溢れる口許。
そして、制服のボタンがはち切れそうな・・・豊満な胸元。
あんなに社内で派手で目立つ子なんて見た事がなかったから、きっと新人なのだろう。