「同じ空の下で…」
先方の会社に到着すると本田さんは役員室を受付に聞いてくれて、案内までしてくれた。
本当に、部下の面倒見のいい、本田さん。
また、本田さんの下で働きたいなぁ…と思ってしまう。
「じゃ、俺はこのまま会議だからここで失礼するよ。いつか海企のメンバーで飲むときは声かけてもいいな?」
「あ、はい。ありがとうございます!いつでもスタンバイしてますね。」
「じゃあ、また!」
本田さんは急ぎ足でその場を後にした。
私はほんとに上司に恵まれた。
そして、今いる自分はそんな上司のおかげだ。
軽く身だしなみを整え、背筋を伸ばす。
呼吸を調え、
『J.Takanashi』
と書かれたドアをノックすると、中から「どうぞ」と声が聞こえた。
「失礼します…」
重厚なドアを開けると、本田さんが言った通りの若いイケメンが居た。
「村越の秘書の英です。こちらをお届けに参りました。」
ビジネスバッグから常務に渡された封筒を取り出す。
「…企画書?ああ、どうもありがとう。」
イケメンは、席を立ちあがると不思議そうにその封筒を受け取った。
天は二物を与えず…というけど、この顔立ちにこの身長は羨ましい限りである。
180センチくらいは軽くあるんじゃないだろうか…?
私は明らかに彼を見上げ、彼は明らかに私を見下おろしていた。
「それでは、これで失礼します…」
「え?コーヒーでも飲んで行って下さいよ、せっかくですから。」
そういうと、内線ですぐ連絡して「コーヒー2つお願い」と言った。