「同じ空の下で…」
亮太との電話を一方的に切り、部屋に戻ると由美に耳打ちして、私は帰り支度をした。
「ごめんなさい、急用ができたのでお先に帰ります」
…そんな、職場で使うような言葉を発すると
自分の飲食した分のお金3000円を置いて、その場を後にした。
「まって、はなちゃん!」
店外へ出たところで、瞬に呼び止められる。
「近くまで送るよ!!」
「いいから、来ないで!!!」
半分本気、半分つよがりで瞬の顔も見ずに、少し足を速めた。
「待てって!!」
肩を掴まれ、思わずびくっとなる。
「俺、ほんとに悪いことした!」
「いいから、貴方には関係のない事ですから。」
「だって、さっきの、彼氏だろ??ほんと、申し訳ない!」
そう言うと同時に、頭を下げてくる瞬。
「もう、いいですから、ほんとに。部屋に戻ってください。」
「送るから」
「ほんとにもう、いいから、私の事はほっといて!!!」
そう言うと、私は走り出した。
アパートまでは駅1個分。
駅につき、やっと時計をみると、
まだ9時30分だった。