「同じ空の下で…」
部屋に充満する珈琲の香りに誘われ、勧められるままにカップに口付け、珈琲を嗜む。

何とも言えない苦みが、口の中に広がってゆく。

足を組みながら、同じように珈琲を口に含んだイケメンは、私の様子を伺いながらゆっくりと顔を覗き込んできた。

「…オペラ、興味ある?あげます、あのチケット。」

「いや、ご遠慮致します…」

慌ててカップを置き、私は手を振ってお断りする。

今時…オペラなんて………。

多分上流階級のセレブリティが、結婚何年目…とかに行くものではないのだろーか?

少なくとも私の中のオペラ鑑賞の印象ってのは、そうゆう感じである。

「俺もご遠慮いたしたいところだが、折角英さんが届けて下さったので…村越さんにも宜しくお伝え下さい。…勿論、私からも一報いれておきますが…。」
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