「同じ空の下で…」

「綺麗な…星空だね~」

見上げた空には冬の大三角形が拡がる。



『俺の居る所も今、星が綺麗に見える。…今、同じ夜空見てるな、俺ら♪』



胸の何処かが…トクンって鳴る。
今、同じ空を見て電話してる…。





「ねぇ瞬、今、何処にいるの?」



何だか切なくなって、急に瞬に会いたくなってしまった私は、瞬に問う。


『石川県金沢市。』

「…どうして、そんな所に?」

『出張だよ。午後、人と会う約束があってさ…』

「随分…遠い所にいるんだね…。」


空を見上げ、瞬を…想う。



『俺…艶香に話しておかなきゃいけない事があるんだ。』


「ん?何?」


『…明日、話すよ。』


「気になるなぁ。今じゃ駄目なの?」


『…今は…話したくない…な。』


「…分かった。じゃ、明日、絶対教えてね?」


『…うん、約束する。』


急に声の張りを無くし声のトーンが低くなった瞬が気になり、それ以上は何も聞けなくなってしまった。


「明日…何時にこっちつくの?」


『10時台の新幹線で帰るから、午後には着くと思う。』


「…そっか。気を付けて帰ってきてね」


『…ん。分かった。あぁぁぁぁーーーー…』


「ど、どしたぁ?」


『めちゃくちゃ艶香に逢いてっ…!』




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